狂牛病

松見 真一

01:47
第13回 入選

「芝居とは、自然に対して鏡を掲げ、善はその美点を、悪はその愚かさを示し、時代の様相をあるがままに映し出すことを目指している。」(ハムレットⅢ-2:小田島雄志訳)
これは役者に対するハムレットのアドバイスです。演技とはリアリティそのものではなく、リアリティの反映であるべきだと。CGは超リアルな表現を可能にしてきました。しかし映像が時代や社会を表現するのに、見た目のリアリティは必ずしも重要ではありません。作り手が、何を反射してどのように表現するかが重要だからです。
その作品が、見る人に光を投げかけ、さらに反射されて、はじめてそこに新たな意味が立ち上がってきます。
この作品は、渋谷や新宿などで見かけるコギャルに対するイメージを映像にしたものです。私の鏡で反射したら乳牛に化けてしまいました。皮肉的な例えですが、どう見ても彼女達は感染済み…というのは、私の思い過ごしだろうか?