彼女と彼女の猫

新海 誠

04:46
第12回 グランプリ

生活していくことの漠然とした寂しさ、微かな痛み、ささやかな温もりなど、言葉では伝えにくい感情を、映像と音に託しました。日常生活の中で、そういった感情を抱えながら生きる同時代的感覚を、少しでも感じていただければと思います。
本作は全編モノトーンですが、これは表現上の理由というよりむしろ制作上の都合です。制作時間の確保が難しく、少しでも手間のかからない制作が大前提でした。手描きイラストと3DCGと写真素材の合成も、ナレーションと効果音に頼った演出も、同じ理由です。
特にナレーションについては、自分自身の声を使うという暴挙で、いかにも素人な仕上がりになりました。でも、そのおかげでタイミングにこだわることはできました。結局すべて、結果オーライかなと、今は納得しています。