POWER

松山 冬樹

03:40
第9回 入選

・この作品は、””POWER””という抽象概念を呼び起こす、””とっかかり””になることを意図して制作しました。
・CGの業界では、リアリティの追求だけが盲目的に行われてきているように思えます。僕自身は絵を描いてきた人間なもので、以前からC Gにも、見る側を意識した、ほんの少しデリケートな演出が必要ではないかと思っていました。
そこで、クラブシーンのマルチスクリーンのようなライプ感覚と、倒錯的な映像によって、つくり手側のメッセージが作品の表層に現れないようにしています。つまり、わざと言葉に直しにくく、そして知らす知らずのうちに深層心理に深く刻みつけるような演出をしてみました。
・これはできてから気がついたのですが、昔から大好きだった映画「2 0 0 1年宇宙の旅」の特にラストシーンからインスパイヤされてこの作品ができたのではないかと思います。
・この作品は1995年に制作されました。もしかしたらLightWaveのユーザーの中で、この作品を御覧になった方がいるかもしれません。1996年度LightWave 3D作品コンテストで賞をいただきました。また、夢科学’96CGグランプリのCGアニメーション部門、BBCC学生映像フェスタ96にても、僭越ながら賞をいただきました。
・これからは、シンセやサンプラーで音をつくるように、誰でもお手軽に映像を作れるようになると思います。しかし、ピアノを手に入れても誰もがモーツアルトにはなれないように、誰でもすばらしい映像が作れるわけではありません。要は個人ではハリウッドの映像にかなわないということです(当然です)。
これからも、もっと作家のオリジナリティーがかいま見れる、偏屈な作品を、時間の許す限りつくっていきたいと思います。